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ドクターヘリのヒミツ②

さて、今金町にも時々飛来するドクターヘリですが、ヘリコプター自体はイタリアのアグスタウエストランド社製「AW109SP(GRAND NEW)」という機種で、機体をあまり前傾させずに速度を上げられる仕様なので、傷病者への負担が少なく、また、医療行為の負担も軽減することができるヘリとなっています。また、雪上にも降りられるよう車輪部分にはソリが装着可能となっており、雪上着陸対応となっています。

「AW109シリーズ」はドクターヘリの他にも警察用ヘリ、防災ヘリ、軍用ヘリなど、世界各国で使用されている実績があり、2015年公開の映画「ジュラシックワールド」にも登場しているほどです。

全長      12.96m
全幅       3.29m
全高       3.39m
最大離陸重量  3.175kg
最大航続距離  約727km
最大航続時間  約2時間40分
最大巡航速度  290km/h
最大搭乗者数  7名 (操縦士除く)
発動機     P&W 207C/双発機

 

巡航速度は一般的なジェットエンジン仕様の飛行機と比べると約三分の一から四分の一ほどの巡航速度で、エンジンはカナダにある「プラット・アンド・ホイットニー・カナダ(通称:PWC)」社製「PW200シリーズ」のタービンエンジンが搭載されています。

ちなみに「プラット・アンド・ホイットニー社 以下:P&W」は航空用エンジンの大手であり、本社であるアメリカでは航空用大型エンジン、カナダではヘリ用などの小型エンジンを手掛けています。空港などで見る航空機のエンジンに鷲のロゴがあれば、それはヘリと同じP&W製エンジンです。
(他にはRR=ロールスロイス、GE=ゼネラルエレクトロニクスなどがあり、スペックの違いによりエンジン音や性能が異なります)

ドクターヘリに搭乗する医者や看護師はヘリ自体を操縦できないので、運行は「鹿児島国際航空株式会社」に委託しており、基本的には医者や看護師が操縦に関して意見や指示を出すことはなく、操縦士が常に冷静な判断で飛行できるような体制になっています。

ヘリが安全に着陸できる場所として、予め定められた離着陸場所(ランデブーポイント)があり、今金町内には9か所の指定されたランデブーポイントにて救急車と合流し、傷病者を引き継ぐことになっています。

また、ドクターヘリは「有視界飛行(VFR)」という飛行方法なので、一定以上の視野がないと飛ぶことができません。日没後や、戻ってくるまでに日没が予想される場合には離陸すらできない場合もあります。
なお、夜間も飛べるヘリは離発着場所(ヘリポート)に夜間照明設備がある場合に限られ、町内にはその設備もないため不可能となっております。

  

今金町を含めた上空は「札幌航空交通管制部」の管轄空域のため、ドクターヘリが飛行する際にも航空管制官の指示に従い飛行することになります。
幸い、函館空港周辺の一部エリアを除き、道南地方は航空機があまり飛ばないエリアのため、航空機の混雑などによってドクターヘリの運行に支障をきたすようなことは、あまりないかと思われます。

筆:Odajima