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実は我々の住む北海道には、北海道独特のかるた遊びが存在することをご存知だろうか。
その名も、「下の句かるた」という。
その最大の特徴は、小倉百人一首を元にしながら、上の句が存在せず、下の句を読み、下の句を取るということだ。「下の句かるた」と呼ばれるゆえんである。さらに、取り札がホウノキなどの木製であることや、その独特な書体で書かれた文章は、非常に珍しい。
どうやら今金町でも、その「下の句かるた」がひそかに行われているとのことだが…。
そこで、今回は潜入したのは、先日今金町で行われた、子ども会連合会による「こどもかるた交流会」。参加者は、いまCh.編集部ではすでにおなじみである、地域おこし協力隊・杉村さんだ。
謎のどや顔と共に持っているのは、餅である。なぜ餅を持っているかは、後述させていただく。
1月7日、日曜日。舞台は今金町総合体育館の武道場。
この日、ここで何が行われていたかというと、子ども会連合会による「こどもかるた交流会」だ。
小中学生を対象に百人一首少年団の方々が講師となって、かるたや昔遊びを通して交流を図るイベント。
世代間交流、そして今を生きる子どもたちに日本の伝統的な遊びを伝えることが、このイベントの目的である。
集まったのは2~30名の小中学生。今金町百人一首少年団の方々を講師に迎え、楽しくかるたを学ぶ。
実は、以前に3日間かるた教室が行われており、かるたについてはお手の物な子どもたちも何名かいるようだ。
大人や子ども関係なくかるたを楽しんでいるな・・・これが世代間交流というものか・・・
と、遠い目をして見つめていた杉村氏は、とあることに気づいてしまった。
かるたが木で出来てる…
ていうかすごい達筆なんだけど…。
紙ではなく、しっかりとした木でつくられた札。独特に描かれた文字に戸惑う。
これが冒頭でも触れた「下の句かるた」である。北海道でかるたといえばこれなのだ。※言い過ぎ
基本的なルールは、1チーム3人の対抗戦。3人で分けた50枚の取り札を、先に0にしたほうが勝ち。
冒頭でもあったが、取り札は木製のものを使い、小倉百人一首を元にしつつ、下の句だけで進んでいくのが特徴。
もっと細かなルールもあるようなので、興味があれば調べてみてほしい。
なぜ北海道で普及したのか詳しくはわかっていないようだが、江戸時代に会津藩の武家と商家で行われるようになったのが発祥で、入植の際にそれが持ち込まれたというのが元になっているとかなんとか・・・。
取り札が木なのはなぜなのかというのについても、はっきりしていないようだ。
全日本下の句歌留多協会のホームページに、「下の句かるたの歴史」として、紹介されているので、参考にしていただければと思う。
しかし、交流やかるたを楽しみながらも、チーム対戦形式であるため、皆真剣な眼差しで取り札を見つめながら対戦に集中しており、かるたならではの独特な緊張感が高まっていくのをひしひしと感じた。
この「下の句かるた」、大会でも年齢制限などなく、老若男女ともに楽しめるとのこと。大人と子どもが一緒になり、真剣に取り組めるのだ。
全日本下の句歌留多協会指定とある。つまりはガチなのだ。全国的に支部があり、その総本山が北海道ということらしい。
続いて移動したのは総合体育館のアリーナ。
この広い会場で行われたのは、「大型北海道弁かるた」だ。
えっ、大型って…もしかして巨大な木の札が大量にあるのか?
と思いきや、こちらは取り札が大きいだけで、小さい頃から見慣れたルール。読まれたものを素早く取る。
ただ違うのは、書いてあるのが北海道の方言ということである。
「ざんぎ」「らんき」「ゆるくない」などと書かれている。どれも有名な北海道弁だ。取り札を取ったら、大きく上に掲げる。大きい分、探しやすそうに見えて難しい。
小学生たちが大型のかるたを行っている間、中学生たちはむかし遊びを体験していた。
今回体験していたのは、この輪ゴム鉄砲である。
正直、男子であれば必ずと言っていいほど、いずれは輪ゴム鉄砲で遊ぶ運命にあると思う。
最終的には自作してしまうのだが、そのときいかにかっこよく威力のあるものを作れるかがポイントなのだ。
今回は決められた位置から的に当て、当てた数に応じてお菓子がもらえるらしい。
ご覧のとおり、たとえ女子であろうと夢中になってしまうのが、輪ゴム鉄砲の魔力である。
大型かるたを終えて交代してきた小学生たちも一瞬にして夢中にしてしまう。
彼らの構えはもはや完全にプロである。
小中学生共にむかし遊びと大型かるたを終えた頃にはちょうどもうすぐお昼時という時間。
絶妙に疲れてお腹も空いてくる頃合いだ。
というわけで、お正月らしく餅つき体験の始まりである。
想像するより腰を疲弊するのが餅つきの定番だが、なんなくこなす子どもたち。さすがである。
こねた餅であんこを包み、あんころもちをつくる。冒頭の杉村さんの写真はこのことだったのだ。
女連協の方々にお雑煮も作ってもらい、みんなでお昼ご飯を食べる。
後半にはすっかりお腹のすいた様子だったみんなも、おいしい昼食にテンションが上がったようだった。
完食した様子の杉村さん。お疲れ様でした。
年が明けてすぐの週末、1月7日に行われた、こどもかるた交流会。
かるたを楽しむだけでなく、例年と違いむかし遊び体験や餅つきも行いながら、普段なかなか接する機会の少ないお年寄りの方と子どもたちの交流につながったのではないだろうか。
むかし遊び体験は、今年から始めた新たな試みの一つである。来年以降、またむかし遊び体験を行うかは未定のようだが、好評ならば、もしかしたら…とのことなので、来年も楽しみにしていてもいいかもしれない。
今回このこどもかるた交流会に参加していた、いまCh.編集部でもある地域おこし協力隊杉村氏によると、「今回初めてかるた交流会に参加し、生でかるたをやっている場面を見て、スポーツの競技ではないけれど、スポーツ試合のような緊張感や真剣さ、激しさがあり、かるたというものに対して、参加する前よりもずっと「奥が深い」と感じるようになった。」と語る。
かるたや百人一首というと、上品で文化的な印象があるが、その実、礼儀を重んじながらもスポーツさながらの熱い戦いが繰り広げられている。遊びといいつつも、真剣に取り組むことでその奥の深さを思い知らされたようだ。
「下の句かるた」など、地域によって色濃く残った独特な遊び方が残っているのも驚きだった。そういったものを後世に伝え、いつかまた次の世代へ伝えてもらうことで、伝統を守っていく、そんな思いを感じたイベントであった。
競技性の高い、激しさのある側面と、日本古来からある伝統文化としての上品な姿を持ち合わせるかるた・百人一首を、また楽しむ機会が訪れることを願う。
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座右の銘は「みんなで今金を盛り上げよう」で、 執筆記事の得意分野は今金情報です。